我が国では毎年、約18万人以上の方が心臓に関する病で亡くなっています。そのうちの7万5千人が突然死などの虚血性心疾患です。これらの心停止患者のほとんどは、会社や路上、自宅などで発症するため、医師の治療をすぐに受けることができませんので、119番通報により、救急車が駆けつけて救命処置を行っています。人間の脳は、心臓から血液が送られなくなると低酸素状態となり、機能停止に陥ります。その時間はわずか5分です。ところが現在、救急車が到着するまでの時間は平均8.06分です。これでは到底間に合いません。患者は亡くなってしまいます。今の日本の救急救命率は約8%。倒れた100人のうち、僅か8人しか助からないのです。それに比べて、救命率30%を超える都市があります。アメリカ西海岸のシアトル市です。救急車も救急隊員も日本の都市に比べて、決して多くはありません。では、どうしてそのような高い救命率を誇るのでしょうか。その秘密は、市民の人命尊重に対する高い意識にあります。シアトル市民の半数が救急処置の知識と技術を身につけ、市民自らの手で遭遇した患者の救命処置を迅速に行っているからなのです。また、こんなデータもあります。救急車が到着するまでに市民の手で救命処置を行った場合の患者の社会復帰率35.5%は、何も行わなかった場合に比べると約2倍にも高まるのです。誰が救命処置をするかが大切なのではなく、今そこにいる人がいかに素早く処置をするかが人の命を左右するのです。救急車を呼ぶのは当たり前のことですが、「誰かがやってくれる」という他人任せの考えではなく、あなた自身が率先して手を下すことが必要なのです。「市民の命は、市民自らの手で守る。」をコンセプトとして、わたしたち市民救助員ネットワーク(CLS財団)が立ち上がりました。